食品添加物の安全性

食品添加物の安全性はよく調べられて、管理されています。

食品添加物は科学的に安全性を評価され、管理されています。
「安全性はどのように評価・管理されているか」、「実際に食品添加物を摂取している量」、「ソルビン酸としらこたん白の安全性」、「リスク分析による安全確保」、「食品添加物を正しくご利用いただくために」の5つのコーナーに分けて、詳しく説明します。

安全性はどのように評価・管理されているか

食品添加物は危険なものでしょうか。
ネットなどで調べると、食品添加物がいかに危険で避けないといけないものか訴える記事がたくさん出てきます。
実は、食品であれ食品添加物であれ、危険かどうかは摂取する量によって変わってきます。
ここでは、食品添加物がどのようにして安全性を評価され管理されているかについてご説明します。

安全性は量で決まる

日頃からなにげなく摂取している水、食塩、砂糖であっても、摂り過ぎれば体に悪影響をもたらすことは良く知られていることではないでしょうか。これは食べ物の安全性が「量」によって決まるという一例です。
このような「量の概念」は食品添加物の安全性を考える上でも基本となります。
安全性の量の概念
一つひとつの食品添加物に対して、短期の大量摂取、長期の継続的摂取、世代をまたがっての摂取といった動物実験が行われ、急性や慢性の毒性、発がん性、生殖機能や胎児に与える影響、アレルギーの原因とならないかなどが科学的に調べられます。さまざまな試験をした中で、「これ以下なら何も健康への悪い影響が出ない食品添加物摂取量」である「無毒性量」が算出されます。
この「無毒性量」は動物実験から算出されるので、ヒトに当てはめるために「安全係数(1/100)」を掛けて「一日摂取許容量(ADI)」を求めます。ADIは、ヒトが一生食べ続けても健康への悪影響がないと認められた一日あたりの摂取量です。
ここまでは科学的な評価によるので、「リスク評価」といわれます。
「一日摂取許容量(ADI)」をもとに、その食品添加物を使っても良いか、使っても良い場合にはどの食品にどのくらい使って良いかが検討されます。日本人がどの食品をどのくらい食べているか、食品添加物が効果を発揮するにはどのくらいの量を添加しないといけないかということを考慮して、いろいろな食品から食品添加物を摂取してもADIを超えないように、使用基準が設定されます。
また、使用基準を超えて添加していないか、実際の摂取量がどのくらいになっているかということが調査されています。輸入食品においても、日本の使用基準が守られているかチェックされます。
このようにADIをもとに使用基準を設定して、その遵守状況も管理することを「リスク管理」と言います。
評価と管理との組み合わせで、食品添加物は使っても安全な量がよく調べられて、それが守られているのです。
人に有害な影響を与えない量で、有用な作用のあるもののみが、食品添加物として許可されています。

ADI(一日摂取許容量)と使用基準

使用基準は、食品添加物の摂取量がADI(一日摂取許容量)を下回るように設定されています。
具体例として、ここではソルビン酸という保存料をハムに使用する場合について説明します。
ソルビン酸のハムへの使用基準は、ハム1kgあたり2.0g以下です。
ソルビン酸のADI(一日摂取許容量)は、ヒトの体重1kgあたり0~25mgです。
これらをもとに計算すると以下の図のような関係がわかります。

ソルビン酸を例にとると…

  • 無毒性量は、実験動物に対して有害な影響が見られない最大量であり、上図は量のイメージを持っていただくための参考です。ヒトに対して健康影響を及ぼさない量の目安としてADI(一日摂取許容量)が定められています。
使用基準があるために、ソルビン酸を健康に悪影響が出るほどとるのは難しいことがわかります。
  • 1.
  • 体重50kgの人が毎日摂取しても健康に影響のないソルビン酸の量

    ADIは、ヒトの体重1kgあたりの1日許容摂取量として表されています。

  • 2.
  • ADIを超えるソルビン酸を摂取するのに最低限必要なハムの量

    使用基準は、食品1gあたりの使用上限量として表されています。

  • なお、日本人は1日平均11.6gのハムを食べているとされています。
  • <例題:小児の場合>
  • 小児(1~6歳)についてハムの摂取量統計があるので、例題として取り上げてみます。
  • 1.
  • 小児(1~6歳)の平均体重は15.7kgです。
    小児が毎日摂取しても健康に影響のないソルビン酸の量は次のように求められます。

  • 2.
  • ADIを超えるソルビン酸を摂取するのに最低限必要なハムの量

  • 小児は1日平均9.8gのハムを食べているとされています。
ご参考:
急性毒性(数値が大きいほど急性毒性が低い)で比較すると下表のようになり、ソルビン酸の急性毒性は、広く使用されている他の食品添加物や食塩と同程度かやや低いことがわかります。
  ソルビン酸 グリシン 酢酸ナトリウム 重曹 食塩
急性毒性
(半数致死量)
7.4~12.5g/kg 7.9g/kg 3.5g/kg 4.3g/kg 4.0g/kg
  • 急性毒性試験は、いろいろある安全性試験の一つです。無毒性量やADI(一日摂取許容量)はさまざまな安全性試験の結果から求められており、急性毒性試験の結果のみから決められることはありません。
  • 半数致死量は、実験動物の体重あたりの物質重量で表され、数値が大きいほど急性毒性が低いことを示します。
  • グリシン等の説明はこちら
関連資料

実際に食品添加物を摂取している量

実際に食品添加物を摂取している量

さて、「実際に食べている量」はどのくらいなのでしょうか。
ソルビン酸を例にとって説明します。
下図はADI(一日摂取許容量)を1とした場合の、無毒性量および実際の摂取量を表したものです。
ソルビン酸の例
  • いわゆる天然添加物(既存添加物)の多くは長年食べられてきた経験から使用されており、ADI(一日許容摂取量)が設定されていないものもあります。
上のグラフは20歳以上の大人におけるソルビン酸の無毒性量、ADI(一日摂取許容量)、一日摂取量を示していますが、同様の調査は1~6歳の小児に対しても行われており、一日摂取量は3.40mg/人でADIの0.82%という結果が出ています。
また、一日摂取量はソルビン酸以外にもさまざまな食品添加物において調査が実施されており、ソルビン酸同様、ADI(一日摂取許容量)よりも十分に少ない量しか摂取されていないことが確認されています。
例えば、甘味料のアセスルファムカリウムでは、実際の摂取量はADIの0.27%という結果でした。
硝酸塩については例外的に、ADIは3.7mg/日/kg体重に対し、20~64歳での1日あたりの摂取量は体重1kgにつき4.9mgであり、ADIの133.1%という結果が出ています。
これを見ると、食品添加物の硝酸塩を摂取しすぎなのではと思われがちですが、実はそうではありません。
硝酸塩はもともと野菜に多く含まれており、食品添加物から摂取している量はわずかであると考えられています。では野菜摂取を控えた方が良いかというとそうではなく、食品としての野菜の有用性や食経験などを考慮して、現時点では問題がないとされています。
参考資料
  • 平成26年度 マーケットバスケット方式による保存料等の摂取量調査の結果について(公益財団法人 日本食品化学研究振興財団HPより)
  • 平成23年度 マーケットバスケット方式による甘味料の摂取量の結果について(公益財団法人 日本食品化学研究振興財団HPより)
  • マーケットバスケット方式による年齢層別食品添加物の一日摂取量の調査(公益財団法人 日本食品化学研究振興財団HPより)

見てわかる摂取量と許容量

体重50Kgの女性の場合

ロースハム、ソーセージ類

日本人が一日に摂取しているロースハムやソーセージ類は平均して11.6gです。
また、体重50kgの人に対するソルビン酸のADI(一日摂取許容量)は1.25gです。仮に使用基準上限(2.0g/kg)使用したロースハムやソーセージ類をADIの値まで摂取しようとすると、625gも摂取しないといけません。
ロースハム、ソーセージ類

魚介(練り製品)

日本人が一日に摂取している魚介(練り製品)は平均して9.7gです。
また、体重50kgの人に対するソルビン酸のADI(一日摂取許容量)は1.25gです。仮に使用基準上限(2.0g/kg)使用した魚介(練り製品)をADIの値まで摂取しようとすると、625gも摂取しないといけません。
魚介(練り製品)

菓子

日本人が一日に摂取している菓子は平均して28.5gです。
ソルビン酸は菓子全般への使用は認められておらず、ジャム、フラワーペーストなど限られた原料に使用が認められています。
また、体重50kgの人に対するソルビン酸のADI(一日摂取許容量)は750mgです。仮に使用基準上限(2.5g/kg)使用した菓子類をADIの値まで摂取しようとすると、300gも摂取しないといけません。
菓子
参考資料
  • 平成25年国民健康・栄養調査報告(厚生労働省、平成27年3月)

ソルビン酸としらこたん白の安全性

代表的な保存料である「ソルビン酸」、「しらこたん白」をとりあげ、具体的に説明します。

ソルビン酸の安全性

いつから使われているか

ソルビン酸の静菌作用は、1939年、1940年にドイツ、アメリカで発見され、アメリカでは当時、抗カビ剤としてのソルビン酸の使用に特許が与えられました。 わが国ではソルビン酸は1955年(昭和30年)に、ソルビン酸カリウムは1960年(昭和35年)に食品添加物の指定を受けています。天然にはクラウドベリーにソルビン酸が含まれているとの報告があります。

体内でどのように消化されるか

ソルビン酸は通常の脂肪酸と同様に体の中で代謝され、最終的には二酸化炭素と水になると考えられています。
  • 脂肪酸とは、脂質の構成成分の一つ。代表的な脂肪酸はオレイン酸(オリーブオイルの主要成分)、リノール酸(大豆油、コーン油、サフラワー油など植物油の主要成分)、α-リノレン酸(シソ油、エゴマ油、キャノーラ油、大豆油などの主要成分)など。

どのようにして安全性が認められているか

ソルビン酸、ソルビン酸カリウムについては、急性毒性、亜急性毒性、変異原性、慢性毒性および発がん性の試験がされ、ソルビン酸類のADI(一日摂取許容量)はソルビン酸として0~25mg/kg体重/日と求められています。アメリカでは使用制限なしのGRAS(Generally Recognized As Safe)物質として「砂糖」や「寒天」と同等に扱われています。
  • 用語の解説
  • 急性毒性:1回または短期間の複数回投与で短期間(1日~2週間程度)に生じる毒性のこと。
    亜急性毒性:比較的短期間(通常1~3か月程度)の連続または反復投与によって生じる毒性のこと。亜慢性試験ともいう。
    慢性毒性:長期間(通常6か月程度)の連続または反復投与によって生じる毒性。
    発がん性:ある物質を生体内に摂取することによって、その影響で体内に腫瘍を発生させる、または発生を促進する毒性のこと。
    変異原性:遺伝情報を担う遺伝子(DNA)や染色体に変化を与え、細胞または個体に悪影響をもたらす性質のこと。
  • 関連資料

保存料で体内の善玉菌が死ぬ!?

  • 腸内の善玉菌保存料なんか使ったら腸内にいる善玉菌は大丈夫なの?
    死んでしまうんじゃないの?と心配ですよね。
    しかし保存料はヒトの健康に影響のない量で、食品中の細菌等の増殖を抑制することのできるもののみが使用を許可されています。
    また、保存料は細菌を殺すのではなく増殖を抑制するものですし、唾液や胃液などで希釈されて大腸到達時の濃度はきわめて低いので、保存料がヒトの腸内の善玉菌を始め、体内の有用菌を殺すといったことはありません。

しらこたん白の安全性

いつから使われているか

1874年にサケの精子中の塩基性物質がプロタミンと名づけられ、これがたん白質であることが確認されました。その後さまざまな魚からプロタミンが発見されました。
抗菌剤として研究が始まったのが1937年頃で、1985年には食品の保存への利用に関する研究が開始されました。
  • 用語の解説
  • たん白質とは
    ヒトをはじめとしたさまざまな生物に欠かせない栄養素の一つです。身近なところだと、筋肉や内臓、爪、髪などはたん白質からできています。たん白質を構成するL-アミノ酸は20種類あり、アミノ酸の数や種類や並び方によってそのたん白質の性質が異なります。連結したアミノ酸が少ない場合はペプチドと呼ばれています。

体内でどのように消化されるか

しらこたん白はサケ由来、ニシン由来ともに、通常のたん白質と同じように消化器官でアミノ酸などに分解され、小腸で吸収されます。しらこたん白を構成するアミノ酸は主にアルギニンです。アルギニンは私たちの体内のたん白質を構成する20種のアミノ酸の一つです。

どのようにして安全性が認められているか

急性毒性、変異原性、亜慢性毒性、催奇形性の試験が実施されています。しらこの食経験が長いことからも安全性が高いと考えられています。
なお、しらこたん白にはサケ由来とニシン由来がありますが、サケ由来の場合は、特定原材料に準じるものとしてアレルギー表示が推奨されています。
これまで、しらこたん白自体にアレルギーの報告はありません。

リスク分析による安全確保

食品安全行政を推進するリスク分析

わが国では、2003年施行の食品安全基本法に基づいて「リスク分析」手法が導入されており、食品添加物についてもリスク分析が適用されています。「リスク分析」は下の図のように「リスク評価」、「リスク管理」、「リスクコミュニケーション」の3つの要素で構成されています。
  • 「リスク評価」とは、その食品添加物が使用された食品を食べることによる健康への影響を科学的に評価すること。
    内閣府の食品安全委員会が担当しています。
  • 「リスク管理」とは、リスク評価の結果を踏まえて、食品添加物の指定可否や規格、基準などを決定すること。
    この際には科学以外の国民感情、費用対効果などが考慮されることもあります。厚生労働省や消費者庁などが担当しています。
  • 「リスクコミュニケーション」とは、リスク分析の全過程において、関係者がそれぞれの立場から相互に情報や意見を交換することです。
食品添加物の多くは「リスク分析」導入以前から使用されているものですが、
現在ではこの枠組みで安全確保が図られています。
  • ご参考: 世界的にはJECFA(WHO/FAO合同食品添加物専門家会議)が食品添加物の安全性を評価し、コーデックス委員会が規格を作成しています。 JECFAでの評価結果は、日本においても食品添加物の規定を定める際の参考とされますが、食品添加物の安全性評価や指定は国ごとに行われています。
関連資料

リスクって何だろう?

  • リスクとは、何らかの良くない影響が起こる可能性のこと。
    「被害の大きさ」と「その被害が発生する確率」から求めます。
  • 例えば、喫煙により肺がんになる可能性がどれだけ高まるかで評価すると、下のグラフのようになります。
    リスクは数字で表すことできますので、まずはリスクの大きさを理解することが重要です。
  • リスクについてわかりやすく説明したパンフレット「リスクと上手につきあおう」を用意しています。
  • パンフレットのダウンロードはこちら

食品添加物を正しくご利用いただくために

食品メーカーで正しく使ってもらうために

食品添加物を食品メーカーに販売する際には、製品に表示しないといけない項目がいくつかあります。
製品への表示を徹底することで、お客様である食品メーカーで間違いが起こらないようにすることができます。
  • 名称
  • 成分および重量パーセント
  • 使用基準
  • アレルゲンを含む場合はアレルゲン
など・・・
※食品添加物では賞味期限表示は省略できますが、自主的に品質保証期限などとして表示していることが多いです。
  • 01 食の安全を守るために
  • 02 食べ物の腐敗と食中毒
  • 03 食品添加物の役割と利用
  • 04 食品添加物の表示

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